お茶碗との出会い (五)
青木 宗温
今回は、夏に合わせて「瑠璃霞木立文」冷茶碗を取りあげました。
「瑠璃」はガラスの古名で、作家は江戸切子で江東区無形文化財に
登録された二代目須田秀石さんです。
ガラスの碗は、正倉院宝物の中に異彩を放つ白瑠璃碗があり、
六世紀以前イラン付近で作られ中国を経て伝わった物のようです。
ガラスの茶道具は明治以降、我が国からヨーロッパへ注文し、
水指・鉢が作られました。
江戸で始まった江戸切子は、180年程前の天保五年ころその技法が
始まったと言います。明治15年英国人エマヌエル・ホーブットマン氏が
招かれ数名の日本人が指導を受けました。
秀石さんは、その中の一人大橋徳松さんの直系のお弟子さんです。
真夏に眺める冷茶碗は、ガラスの持つ透明感に涼しさを感じ
お茶を頂く時、掌にすっと落ち着き、ほっと一息清涼感を味わえます。
わかば通信 2017年8月号(48号)
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