30代、40代のお父さん、お母さんへ。遺言書を作成しておく必要性が高くなりましたので、ご一読下さい。

長津田総合法務事務所コラム  
司法書士 髙橋 欣也

 ご高齢となった際に、相続対策として作成することが多いのが遺言書です。
 そこで、タイトルを見た方は、「えっ、若くても遺言書が必要なの?」と驚く方もいるかと思います。
 じつはお子様がいる30代、40代の方は、遺言書を作成しておくと安心です。
 なぜでしょうか?
 不思議に感じる方も多いかと思います。
 そこで、設例をもとに、その理由について、超簡単にご説明します。
設例:
 家族構成:夫40歳、妻38歳、長男10歳、長女8歳
 夫の財産:自宅(時価3000万円)、預貯金600万円 
    『合計3600万円』
 この状況で、夫が遺言書を作成せずに、突然、病気で亡くなってしまったとします。
 この場合、夫の遺産を分けるための話し合い=『遺産分割協議』をするにも、子供達が未成年ですので、遺産分割協議ができないのです。
 (さて困った!)
 また、妻が財産を多く相続すれば、子供が相続する財産は減るし、妻があまり財産を相続しなければ子供が相続する財産は増えるという関係であり、これを『利益相反』といいます。
 設例では、親権者である妻と子供達で、利益が相反する関係にあります。
 利益が相反する場合は、民法の定めにより、子供達には臨時の代理人が必要となるため、家庭裁判所に長男、長女の代わりに遺産分割協議をする代理人(「特別代理人」と言います。)を選任してもらう必要があります。
 つまり、相続手続きが非常に煩雑且つ費用が余計に掛かります。
 最大の問題点は、この特別代理人は、子供達の法定相続分「設例では、妻が50%、子供達は各25%」を確保する義務があります。
 よって、自宅につき、妻が単独で相続をするには、長男と長女に対し、不動産を取得する代わりに金銭(「代償金」と言います。)を払う義務が生じます。
ちなみに、設例では、代償金の金額は、自宅の時価の25%ずつ、合計で50%(1500万円)となります。
 計算式:3000万円×25%×2名=1500万円
 通常は、このような多額の代償金を払うことは難しいですよね。
 そうすると、自宅は妻50%、長男と長女が25%ずつの共有で相続することを余儀なくされてしまうんです…。
 (法律はなんて意地悪なんだ~!と言っても後の祭りです!)
 夫が遺した預貯金にいても、妻が全部相続し、母子家庭となった家族の生活のために必要なのに、子供に法定相続分の預貯金が相続されると、使い勝手が悪く困りますよね。
 ダメ押しですが、
 時は経過し、子供達が成人に達した後、各々が就職して独立したり、結婚をすると、自宅を出ていきますので、最終的に一人暮らしとなった妻の100%所有としたいですよね?
 
 とすると、長男、長女が持分25%ずつを贈与することになるため、多額の贈与税や不動産取得税などが生じる可能性があります!
 コストがかかるため、共有状態の解消が著しく困難となります。
まとめ!
①このように、子供が成人に達する前に、親が亡くなってしまうと、民法で決められた相続では酷な結果となります。
②こうした弊害・悲劇を避けるために、遺言書を作成しておくことをお勧めします。
 なお、2024年までに、不動産の相続登記が義務化されますので、子供達が成人に達するのを待ってから、相続登記を申請するという解決方法が選択できなくなります。
★遺言書1通作成するだけです。大切な家族のために、トラブルを回避しましょう!

                     司法書士 長津田総合法務事務所

0コメント

  • 1000 / 1000

わか通の作者が綴る新ブログ開設