団地再生へ大学生のアイデア。『ミドラボ学生デザインコンペ』2019
大学生の感性を団地再生にも役立ててもらおうと、2018 年 1 ⽉から東京⼯芸⼤学と神奈川県住宅供給公社が提携、共同研究・教育プロ ジェクト「ミドラボ」を展開しています。
取り組んでいるのは、同公社が開発した厚⽊市緑ヶ丘団地の活性化。
同団地は1963 年の⼊居から半世紀を経て、エレベータのない上層階に空室が⽬⽴つようになっています。 若い世代にとってずっと住み続けられる魅⼒ある住まいとは? それをテーマに学⽣チームにアイデアを出してもらい、共同で進めていくことになりました。
また、そのための「アイデア」と「デザイン」を募るコンペを企画。9月21日には、住戸リノベーションに向けた審査会、『ミドラボ学生デザインコンペ』2019 を開催しました。
審査のポイントとして、
①テーマ、アピール度 (ユニークさ、新しい価値、プロセスや成果の訴求力)
②デザイン・機能 (住み心地、使いやすさなど)
③現実性 (コストを含む)
このような基準が提示されていました。
このコンペで、 実現に向けベースとなる案を審査員が選出。
設計を、学生チームと公社との共同作業で進め、来年度には工事に着工する予定とのこと。
コンペ当日、学生たちは、アイデア部門、デザイン部門の2部門でプレゼンテーションを行い、その後、審査員らによる審査へ。
審査の結果、栄えあるグランプリを獲得したのは、3年生の野島さん、関口さんによる、「unfinisyed 住んでいくうちに完成していく住戸・・・」 。 テーマは、「コミュニケーションが発生する団地」というもの。
複数戸になるに従い、コミュニケーションがあふれていくような住戸にしたかった」と野島さん。
「住んでいくうちに完成していく」という テーマのユニークさや、住民同士のコミュニケーション重視の視点が審査員から高く評価されました
また、全体の講評として、
「制約の中これだけのアイデアが出るのは素晴しい」
「難しいテーマ。3、4階を対象にしているが、そこがまちとどう結びつくかを重視したい」
「もっとオープンにしたいのか、プライベートにしたいのか。その辺がわかってくるとプランディングしやすいのでは」
「フォーマット化されがちの中、固まっていない学生の皆さんのアイディアを取り入れたい」
など、さまざまな感想が出されました。
来年度に着工が予定される緑ヶ丘団地のリノベーション。
学生との共同設計により、どのような住みやすい、魅力的な住居が出現するかたいへん楽しみでもあり、注目されるところです。
ところで、今回コンペ会場となった東京工芸大学厚木キャンパス4号館自体も「ORANGE」の名称で親しまれるユニークな建築物。
今は使われなくなった体育館をリノベーションし、中に入れ子のように研究室・⼯房がつくられています。会場もまた、学生たちがアイデアやデザインを競うにふさわしいユニークな建築物でした。
根本 幸江
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